2023年度、中国科学技術部登録番号SP20230828899、日本国立研究開発法人科学技術振興機構さくらサイエンスプログラム推進本部受付番号S2023F0800684に採択された「生薬、漢方薬、天然素材に関する医療薬学研修を通して創薬共同研究を目指す」という交流活動の受け入れ機関である一般社団法人東海国際交流促進会と送り出し機関である四川省科学技術交流センター、四川大学、成都中医薬大学と成都大学の協力により12月24日から12月30日までの7日間にわたって行なわたプログラムは無事終了しました。

まず、招聘者10名は12月24日に定刻通りに中部国際空港に到着して、受け入れ機関のスタッフと関係者が出迎え、手指消毒、名札配布、健康状態を確認して、スーツケースの個数確認した後、名古屋市内の宿泊先に向け出発しました。

25日には名古屋市立大学薬学研究科から有力な支援をいただき、薬学研究科長の中川秀彦教授による歓迎の挨拶が行われ、薬学部と中国との生薬学との共同研究への期待を述べられ、日本の進んだ技術を学び、日本の学生との積極的な交流を励ましてくれました。

その後は、名古屋市立大学薬学研究科教授牧野利明先生の案内で薬学研究科の各研究室を見学し、各研究室の教授がそれぞれの研究成果を紹介して頂きました。皆興味満々に聞きながら質問したりして勉強が始まりました。

26日の午前中には牧野利明教授は「日本と中国の伝統医学と伝統薬物の区别」について歴史の段階に分けて日本に入った薬物の漢字と実物の違いまたは処方の書き方の違いの研究を述べられました。中国の若い先生と学生達にとって、その理論は初めて聞くものもあり、今後の日中薬物交流に非常に役に立つものであると発言しました。
26日の午後は、成都大学薬学部李維講師による「中薬新型眼内ドラッグデリバリーシステムを用いた加齢黄斑変性症の予防に関する研究」の成果発表があり、特に中薬を使って眼の病気を治療する理論と治療方を紹介されました。その日、名古屋市立大学薬学研究科生薬学博士前期二年生の能瀬逸記氏が「加熱及び生姜ほう製により半夏の喉刺激痛み下げとメカリズムの研究」の成果発表があり、両国の学生間の交流が行なわれました。

27日の午前中には名古屋市立大学薬学研究科生薬学分野笛木司研究員による「《伤寒論》成立期の度量衡換算」について古い医薬の本に記載した植物の使用量と現在処方に使う量の換算は処方の毒性と治療効果に影響する論理を述べられ、中国の中薬と日本の漢方に非常に意味深い研究であると皆から高い評価を受けました。
27日の午後は成都中医薬大学薬学学院の趙夢楠先生と博士後期二年研究生左維芳氏がそれぞれ研究している「抗腫瘍天然物を用いた新規複合治療モデルの探索」と「伝統的な中国医学の適合理論にヒントを得た二重標的薬の設計、合成、メカニズムに関する研究」を発表されました。牧野先生の博士前期の学生達が皆聞きに来ており、お互いに研究内容についてディスカッションをしました。両国の先生と学生は市立大学薬草園の見学しながら中薬と漢方薬の使う植物の違いも勉強しました。
28日の午前には引継き、牧野利明教授による「科学的に伝統医学の薬能を解釈する試し」の授業があり、薬物の性能改善の科学的な解明を示すことを紹介されました。その後、四川大学中西医薬研究科の劉詩雨先生による「柴芩承気湯の急性膵炎改善メカニズムに関する研究」成果を発表して日本に留学している中国の学生とも交流しました。
28日までの四日間で名古屋市立大学との交流を通じて日本側のSDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みを良く理解しました。薬学部の生薬学研究は、人々の健康と福祉に対して極めて重要な役割を果たしており、生薬、漢方薬、天然素材に関する医療薬学の研究レベルは日本のトップクラスに位置していることも理解しました。今回の生薬、漢方薬、天然素材に関する医療薬学研修を通して創薬共同研究と日本の基準に適した生薬を研究できる人材を育成することと先生間の共同研究と学生の留学を推進していくことを合意しました。


29日には岐阜県美濃加郡医療法人白水会野尻真理事長の手配で白川町老人ホームを視察しました。介護施設と監視システムや省力化器具などを実際に触り、特に認知症の老人介護に関するセンサ-技術やお風呂の便利さに感心して、初めて日本の老人介護知識を勉強できました。
午後、白水会白川病院院長、赤ひげ大賞取得者の野尻真院長による「しらかわユートピア」を提唱する医療、福祉、保健、健康増進、住宅生活と地域創成を合わせた。町民の健康を巡る町づくり仕組みを紹介され、漢方薬「十味敗毒湯」のウイルス防止と治療の理論を伝授ました。

白川町町長と議長は桜サイエンス青少年交流プログラム交流の参加者を熱々歓迎し、町の名物酒とミカンを贈呈しました。参加者は地域の友好的な雰囲気を感じ、日本と中国の友好が一段と促進されました。

30日は一般社団法人石田流華道会館で愛知県日中友好協会副会長、名古屋市日中友好協会会長、石田流二代家元の石田秀翠会長から生け花の授業を行い、日本正月の花と中国の伝統と繋がりと、生け花の仕組みと論理を教えながら生け花のやり方も実演してくれました。
最後に、受け入れ機関一般社団法人東海国際交流促進会理事長馬場規子により日本国立研究開発法人科学技術振興機構さくらサイエンスプログラム推進本部を代行して、招聘者達に修了証書を贈呈されました。

交流活動は順調に終わり、午後4時に中部国際空港から帰国し、夜12時ごろ成都双流国際空港に到着して無事に帰宅しました。

交流会風景&楽しい日日

2023 年度さくらサイエンスプログラムは終了しましたが、来年もまだ続けましょう!